驚くほど冬だった。

道端の雪という雪が風に巻き上げられ、そういえばこの町の一月というのはこういうものだった、としみじみ思うほどの。冬だった。

 

ようやっと乗り切った十二カ月はまた一からのカウントが始まる。年が明ければしけった爆弾を手渡され、抱え続ける。ひとつ乗り切ったことに僅かだが安堵し、しかし積み重ねた二十とすこしの不発弾がかたっ と動くたびに身構える。

ブログトップには暫く更新のないページに表示されるであろう胡散臭い広告がべったりと貼り付けられていた。前回の記事下部には 196日前 の表示。初夏のころである。

 

 

2021という年は、静かな一年だった。

もっとも それまでは賑やかすぎた、とさえ言えるので、穏やかな一年だった が正しいかもしれない。これといった波風のない、凪の年。緩やかに流れ、時に沈みかけ、浮き上がる。ただ、過ぎてみればそれは自分がとても必要としていた時間だったのだと感じる。向き合い続けて視野が狭まっていた様々を、遠くの高台から俯瞰するような時間だった。

 

作る事に関し、模索する余裕をもてたことが何より幸せであった。

詩を書いている時間。本を読む時間。季節や時間に合わせて変わっていく自分の苦楽を理解する時間。文章にじっとりと長くふれていると、自分の綴る言葉も少しずつ純になってゆくのを感じる。頭の中のそれは、以前に比べてまた少し形にできるようになった。元々言葉を組み立てるのには時間のかかる性分、納得いくまで向き合う時間がある程度持てるというのは本当にありがたいことだった。そんなものは結局いくらあろうと足りないのだが、大事な詩は沢山できた年だった。

 

叶った夢がいくつかあり、文字通り夢のようと疑う出来事もいくつかあった。ただそれ以上に、長く薄暗く、先の見えない洞穴が広がっている。日に日に、年々時を重ねれば重ねるだけ暗くなる。かなえた夢のひとつやふたつではとても清算できない暗闇。わたしはそこに不発の爆弾を、抱えきれない今日の明日への憂苦をそっと押し込めて、また寝付けない夜に丸まっているだけなのだ。

恐ろしく寒い、冬の夜だった。